餅の焼き方は人生の縮図だ!弱火でじっくり、何度もひっくり返して…

久しぶりに餅を焼いた。

家庭教師先の近所にあるスーパーで切り餅を買ってきた餅だ。とにかく餅を食べたかった。最後に食べたのは何か月前だっただろうか?

夜中にキッチンに立って、網の上に餅を6個並べて焼く。

網を使って餅を上手に焼くコツは、弱火にすることと、手間を惜しまずに何度も餅をひっくり返すこと。

丁寧に焼いた餅は外側がカリッとして、内側がブニューッと伸びるほど軟らかくなる。砂糖を溶かしためんつゆにつけて食べると美味。

しかし、初めて餅を焼いたときは、焼き方のコツがわからず、さっさと食べたいがために強火で焼いた。餅が真っ黒焦げになった挙句、網にくっついてしまった。せっかくの頂き物を捨てるのももったいないので、炭化した餅を食べたのだが、当然美味しくない。しかも、網が汚れて洗うのが大変だった。

その後ネットで調べて、餅に直接火を当ててはいけないことを知った。その通りに餅を焼いたら、焦げたり、網にくっついたりすることは少なくなった。

ただ、別の問題が生じた。焼き上がるまでに時間がかかるのだ。1つ焼くのに5~10分くらいかかる。6個焼いて食べると20分くらい経ってしまう。時間が惜しいといえばそうなのだが、美味しい餅を食べたければ我慢するしかない。

夜中に一人寂しく餅を焼いていると、その作業が人生の縮図に思えてくる。

人間として成長したり、求めている結果を実現したりするには、小さなことをコツコツ積み重ね、時間をかけるのが、遠回りなようで近道であることが多い。

試行錯誤を嫌がり、焦って一気にやろうとすれば、追い詰められて失敗したり、心身がやられてしまったりする。そのトラウマが後の人生にもずっとへばりつき、足を引っ張り続ける。トラウマを解消するのはとても面倒だ。餅が焦げて網にくっつくのと同じではないか?

そんなことを考えてしまうほど餅を焼くのには時間がかかり、「この時間にいろいろできたのでは?」と思ったのだが、そうはいっても美味しい餅を食べたいわけで……。餅を焼くときはいつも、葛藤に苛まされる(笑)

というか、わざわざ網で焼かなくても、電子レンジでチンしても食べられるらしいのだが、やはり焼いた餅を食べたい僕は、これからも焼き続けるだろう。そのたびに、焼けていく餅と人生とを比べて、あれこれ考えるのだろう。

夜中に餅を焼いている時点で、僕の人生は……。とにかく余計なことを考えず、無心に餅を焼くことが大切なのだ、と自分に言い聞かせるのだった。

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