時々実家に電話をかけると、自分のこれから先の人生を否応なく考えさせられる。
母「期待してないけど、結婚する予定はないんだよね?」
僕「ごめんね、ないんだ……」
母「まあ、結婚しなくてもいいから、自分の好きなように生きなさい」
先日はこんな会話をした。
僕は家庭教師としていろんな家庭を見てきたが、だからこそ「結婚したい」とは思えない。百歩譲って結婚したとして、子供を育てることには、おそらく拒否反応を示すだろう。
血のつながった子供を求める人が多いが、僕は逆にこれが無理。血のつながった子供は要らない。血のつながっていない子供を養子として育てた方がいい。自分の血なんて、危なくて世に放ってはいけない。真剣にそう思っている。
母には申し訳ないが、結婚しないと思うし、孫の顔を見せてあげることは一生ないはず。とはいえ、一生独身で不安がないのかといえば、むしろ不安しかない。
このままいけば、僕は孤独死だ。自分より先に両親が逝ってしまうことを考えれば間違いない。社会にとって価値のない男が死んだからといって、誰も困らないだろうし、悲しまないだろう。だから、死そのものが怖いわけではない。
しかし、万一息絶えた後誰にも発見されず何週間も経ってしまったら――。特殊清掃の出番になってしまいそうで、それが嫌だ。そして、財産が残っていれば、その財産がどこに行くのかもわからない。場合によっては国庫に帰属してしまうのだが、それだけは避けたい。毎年確定申告して、税金をきちんと納めるのにさえ、イラっとさせられるのに……。
もちろん、生きているうちに財産をすべて使い尽くせるのなら相続の心配は要らないし、借金まみれになっていれば、むしろ相続人がいない方が好都合だ。
しかし、僕は「身の丈」に合った生活しかしないので借金をしないだろうし、年収三百万もあれば百万くらいは貯金できてしまう性格なので、財産が0になるとは考えにくい。個人型確定拠出年金iDeCoやつみたてNISAもやっているし……。
それでも繰り返しになるが、結婚はしたくないし、ましてや自分の子供は絶対に要らない。となると、将来的なことも考えて、「財産を相続させたい!」と思える人との出会いに期待する他はない。
三十代後半になったので、そろそろ「終活」についても考え始めたいところだ。残りの人生全てをかけて、自分より若くて素敵な人を探すのも悪くないのかもしれない。お気に入りの生徒♂にはちょくちょく声をかけたりしているのだが、まあ、自分の人生に無理やり付き合わせるわけにもいかないし……。
いずれにしても、「紀州のドン・ファン」のような最期だけは御免だ。「御免だ」といっても、彼ほど財を築けないだろうし、彼ほどの元気もないので、心配するまでもないのだが……。それも空しい。
ガッポガッポ稼げるようになりたい。「終活」の前に「稼ぎ方」を真剣に考えるか……。