Webメディアの作り方を学べ!糸井重里『ほぼ日刊イトイ新聞の本』

僕は今、「自分のメディアを育てたい」と切実に思っています。

僕が考える「自分のメディア」とは、自分の書きたいことを自由に書ける場です。誰にはばかることなく、好きな人たちやイベントを応援できる場です。そして、収益を生み出す場でもあります。

「自分のメディア」構想を実現させるべく、ここ最近はできるだけ毎日、記事を更新しています。そんな折、糸井重里さんの『ほぼ日刊イトイ新聞の本』を読みました。

「ほぼ日刊イトイ新聞」との出会い

実は僕、「ほぼ日刊イトイ新聞」も糸井重里さんも知りませんでした。テレビを全く見ないので、糸井さんのお顔を拝見することもありません。

そんな僕でしたが、ヤフーニュースで「徳川埋蔵金の再発掘は実現するか? 株式会社ほぼ日がついに上場。株価は急上昇中。」という記事を偶然読んで、「へぇ~こんなサイトがあったんだ」と「ほぼ日刊イトイ新聞」を知りました。

ほぼ日刊イトイ新聞
糸井重里が主宰するウェブサイト。1998年6月6日創刊以来、一日も休まず更新しています。糸井重里の日替わりエッセイ「今日のダーリン」/有名無名を問わずたくさんのゲストが登場するコンテンツ/85万部を売り上げる「ほぼ日手帳」などのグッズも発売...

後日、これもまた偶然、ブックオフの100円コーナーで見つけたのが『ほぼ日刊イトイ新聞の本』でした。嬉しくなって、僕は本を持ってレジに直行しました。新刊を買ったわけじゃありません。ゴメンナサイ、糸井さん!

さて、「サイトの方向性をどうしようかな?」と悩んでいた僕は、『ほぼ日刊イトイ新聞の本』を早速ひも解きました。そうしたら、ヒントが出るわ出るわの大収穫!徳川埋蔵金もビックリです(笑)

本物が語る言葉の説得力

『ほぼ日刊イトイ新聞の本』は、糸井さんが従来のコピーライターの仕事に限界を感じたという、ちょっと暗めな話から始まります。そんな時期にインターネットと出会った糸井さんは、「自前のメディアを持つ」という仕事の方法論を見つけました。

ぼくは、ビジネスマンやOL、学生、家庭の主婦、フリーター、女子高生、定年退職し暇をもてあましている元気なお年寄りなど、さまざまな人々が通りかかる繁華街、銀座通りのようなホームページをつくりたいと思うようになった。

こうした構想から出発する糸井さんですが、全てが順風満帆だったわけではありません。大変だった資金繰りの話、手作業でメール返信をしていた頃の話、「波乗りにいちゃん事件」の顛末など、一見すると「失敗」っぽい話もあります。しかし、そうした経験からも糸井さんは学び、「ほぼ日刊イトイ新聞」をより良くするための糧にします。

ぼくは、「最初はダメだったんだよ」という話をする人が大好きだ。

こんなことを言う糸井さんらしく、『ほぼ日刊イトイ新聞の本』では、試行錯誤を重ねていく過程が赤裸々に語られるんですね。

近年、書店でもネット上でも、ブロガーやらアフィリエイターやらが書いたハウツーが溢れています。しかし、そうした文章は、内容がペラッペラで、読後に空しさが残ります。

一方、『ほぼ日刊イトイ新聞の本』は単なるノウハウやサクセスストーリーでないからこそ、物事の本質がギュッと詰まっていて、目から鱗がポロポロ……。

目次を見ただけでも、「アクセス数には気を取られない」「多忙は怠惰の隠れ蓑」「すべてはコンテンツなのだ、という考え方。」など、気になるワードの目白押し!で、本文を読むと、「なるほど!」の連発!本物が語る言葉にはやっぱり説得力がありますね。

「何かができるような気がする」という希望

僕自身、「サイトを大きくしよう」という野望はあるものの、サイトの運営方針どころかサイト名すらまだ決まっていません(そのうち、このサイトのサイト名が変更になります)。

ただ、糸井さんが目指す「銀座通りのようなホームページ」にはしない、という方向性だけは確実です。僕は、街の路地裏でひっそりと営業している、「知る人ぞ知る」怪しい店のようなサイトを目指しています(笑)

それなら、『ほぼ日刊イトイ新聞の本』に書かれていることが役立たないかといえば、そうじゃありません。むしろ、「デザインや構造はシンプルがいちばん」「世間の言いなりにならない」「広告収入に頼らない」など、糸井さんの方針が参考になりました。世間に溢れているノウハウとは真逆の発想こそが、僕の求めていたものです。

そして何より、糸井さんのおかげで人生に希望が見えてきたんですよ。

「何かができるような気がする」と思いながら生きていくのは、それだけでけっこう楽しいものなのだ。「何かができるような気がする」という、無力感の逆のような心の状態というのは、やっと歩けるようになった赤ん坊が、笑いながら一歩ずつ進んでいくときの感じに似ているように思う。

ああ、この感覚……。僕は久しく忘れていました。

眉間にしわを寄せて、目の前の問題に対して「ああでもない、こうでもない」と悩んでいると、希望を見失って心身ともに疲弊します。そんな無間地獄から僕を救ってくれたのは、『ほぼ日刊イトイ新聞の本』でした。「何かができるような気がする」――僕は今、糸井さんの言葉を自分に言い聞かせています。

『ほぼ日刊イトイ新聞の本』からは、メディア論だけでなく人生論も学べます。糸井さんのファンもそうでない人も、読んで損はない一冊です!

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