2022年12月13日に39歳の誕生日を迎えた。いよいよ三十代最後の一年に突入した。そんな四十代まで後わずかのおじさんが2022年を総括する。
一年の前半は、家庭教師廃業を考えてたところに、2021年で生活の基盤となっていた仕事が打ち切りになり、いろいろバタバタしていた。それでも細々と仕事はあったので、あまりやる気もなく、数年間続いていた引きこもり生活を延長していた。
そんな自堕落な生活が変わるきっかけになったのが、6月に駒込で開催された「アートにみるフェティシズムとディシプリン」展だった。久しぶりにギャラリーに足を運んだら、ラバリストの大谷ひろみさんと偶然再会した。このとき、大谷さんとお話しさせいていただき、デパートメントHが通常通りに戻ったことを知った。同時に、自分はアングラやフェチの世界が好きだったことを思い出した。
早速7月の第一土曜日にデパートメントHに参戦した。「何年ぶりのデパチ?」という僕だったが、竜宮城から帰ってきた浦島太郎のようにはならず、昔交流のあった方々と再会したり、ステージを撮影したり……と、むしろ昔の感覚が戻ってきた。好きだった人やものが自分の中に残っていたことが嬉しかった。
デパチ復帰をきっかけに、引きこもり生活から社会復帰するためのリハビリが始まった。
僕には、ライターの先輩として尊敬する方が二人いらっしゃる。一人は身体改造ジャーナリストのケロッピー前田さん。もう一人は大学受験Gnobleなどで国語講師としても活躍されている吉田裕子先生。
僕は、ケロッピー前田さんのイベント(『JOMON TRIBE』トークショー、BURST公開会議)に足を運んだ。吉田先生が毎日文化センターで開講している「日本古典文学の奇想天外な物語を楽しむ」を受講した。そこで、好きな人の話を聞くことの楽しさや「もっと知りたい」という欲求を思い出した。何よりも、憧れの人と直接お会いできるチャンスが東京にはある。そのチャンスを求めて上京した、刺激を求めていた10年以上前の自分を思い出した。
家庭教師としての活動を縮小する一方で、「自分はライターとして何ができるか?」を考え直す一年でもあった。マイナビ「中学受験ナビ」の記事作成に力を入れるようになった。教育業界に20年近く関わってきた経験を活かしたかったからだ。
それとは別に、7月からはイープラス「SPICE」で取材を再開した。かなり久しぶりに、美術館で開催される展覧会の内覧会へ。『水木しげるの妖怪 百鬼夜行展』の内覧会では、オープニングセレモニーにも参加し、安達祐実さんと京極夏彦さんのお話を間近でお聞きし、オフィシャルカメラマンの真横で撮影もさせていただいた。水木しげる生誕100周年にこのような機会に恵まれたのは光栄至極だった。
9月にはフェチフェスの取材を行い、数年ぶりにたくさんの方々と再会できたのが嬉しかった。年末の12月には、総合格闘技系エンターテイメント『炎上万博』を取材させていただき、「こんな面白い世界があるのか!」と感動した。
炎上万博の取材では、編集者さんやカメラマンさんにも協力してもらいながら、最後の最後まで粘ってインタビューを行うという経験をした。このとき、アーティストグループ・Repezen Foxx(レペゼンフォックス)にDJ社長さんに握手していただき、自分の中で何かが覚醒した。
目の前に世界を目指すかっこいい人がいる。一方で、自分は今まで何をしてきたのか?
お世辞の類ではなく、本当にDJ社長さんが輝いていて、その輝きが自分を振り返るきっかけになった。さらに、この日の取材で「取材するとはどういうことか?」を改めて考えたのも大きかった。
他には、オカルト界に君臨する伝説の雑誌『ムー』で「ムー的YouTuberの世界」を執筆させていただくことになった。炎上万博の取材でも感じたのだが、人気YouTuberの皆さんは本当にかっこよくて、そのお話を直接お聞きできるだけでも自分の糧となる。
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取材のとき、ある方が「自分が知りたいから取材します。それが何かに使えなくても構いません」とおっしゃっていたのをお聞きして、「ああ、そうか」と納得させられた。
自分は他人の話を聞きたい。その人がなぜそのようなことをしているのかを純粋に知りたい。それがお金になるかどうかとは関係なく……。
自分は三十代最後の一年でいったい何をすべきか?どのような生き方をしたいのか?
人と出会い、たくさんの刺激をいただくことで、コロナ禍と相俟って長引いていた引きこもり生活に終止符を打つための希望の光が見えてきた。2022年は僕にとって人生の転機だった。
資産運用では、日医工の上場廃止で今までに経験したことのない大損失を食らった。一方で、年末には、コネクシオのTOB(株式公開買付)が決まって急騰。他のいろいろもあって、プラマイではそれなりのプラスになっている。
人生もこうした資産運用と同じで、多少上手くいかないことがあっても、堅実さや誠実さを大切にしていれば良い方向へと向かっていくのだろう。そんなことを考えながら、2023年は自分にできることを堅実かつ誠実に積み重ねていこうと決意した。